ケータイ彼女(シナリオ28)
  自分の姉の彼氏である三浦に想いを寄せる花実は16歳の女子高生。
 ある日、花実はフェンスの不具合で屋上から落ちしまう。偶然にも落ちた先には三浦の携帯があった。
 花実は奇跡的に命を取り留めるも、意識が戻らない植物状態になってしまう。
 だが、花実の意識は三浦の携帯の中に入ってしまっていた。

 モバイル・コミック大賞2007出展作品。最終選考作品としてweb上に出展されました。
 描きあげた時は、まさか最終選考まで行くような作品とは思わず、驚きました。
 webでは、途中までしか展示されなかったので、ここに全文載せておきますw

□人  物

 小枝 花見(こえだはなみ)(16)里中高校2年生
 小枝 岬(こえだみさき)(18)里中高校3年生。花実の姉
 三浦 武(みうらたけし)(18)里中高校3年生。岬の彼氏
 湯浅 新二(ゆあさしんじ)(18)三浦の親友
 その他


〜本編〜

○里中高校・全景
   一般的な高校である。

○同・学校裏
   歩いている三浦武(18)かなりのイケ
   メン。
湯浅の声「おーう!三浦!」
   三浦が振り向くと、湯浅新二(18)が
   三浦をヘッドロックする。
湯浅「おう!彼女と仲良くやってるのか!く
 そー!」
三浦「(笑いながら)おいおいっ」
   と、離れる。
   その際に、三浦のポケットから携帯電
   話(以下携帯)が落ちる。
   気付かず歩いていく三浦と湯浅。
   落ちている三浦の携帯。

○同・屋上
   フェンスがある屋上。昼休みで、生徒
   達が昼食をとっている。
   フェンスのネジが取れかけている。
   小枝花見(16)がフェンスにしがみ付
   いて、学校裏を歩く三浦と湯浅を見て
   いる。
   女子生徒Aがパンを食べながら
女子生徒A「花実、三浦先輩は無理じゃん。
 諦めなよ」
花実「(振り返り)うん……」
女子生徒A「だって先輩の彼女……」
花実「わ、わかってる。わかってるけど……」
   と、フェンスに寄りかかる。
花実「……」
   フェンスのネジが重みで取れる。
   フェンスが外れる。
花実「!?」
   と、フェンスと共に屋上から落ちる。
女子生徒A「花実っ!?」
   花実、驚きの表情で宙を見つめる。
   青い空が見える。
   花実が落ちていく。
   その下には、三浦が落とした携帯。
   その上に花実が落ちてくる。
   ドサっと音がする。

○第一総合病院・全景
   T「一週間後……」
   大きな病院である。

○同・花実の病室(個室)
   心電図が鳴っている。
   ベッドで頭に包帯を巻き寝ている花実。
   側に小枝岬(18)が立ち、花実を心配
   そうに見つめる。
   ベッドを挟んだ向かい側には医師。
岬「それで……妹は大丈夫なンですか?」
医師「奇跡的に命に別状はありませんし。脳
 波も正常です。ですが、意識が戻る気配が
 ないのです。手は尽くしているのですが…
 …」
岬「……花実」

○里中高校・学校裏
   チャイムが鳴り響く。
   学校裏に座り、一人弁当を食べている
   三浦。
   携帯を開いた状態で膝に乗せて、画面
   を見ている。
   湯浅が遠くから手を振る。
湯浅「お!三浦ァ!」
三浦「お〜、湯浅」
   と、携帯を閉める。
湯浅「楽しそうだな!彼女とメールか!?」
三浦「違ぇよ」
湯浅「そうなのか!くそー!いいなァ!」
   と、去っていく。
三浦「……彼女だってさ」
花実の声「そんな……違いますよぉ」
   三浦、携帯を開ける。
   モニターに花実が映っている。
三浦「まさか、携帯の中に君がいるとは思わ
 ないだろうな」
花実「ですね。話したって信じないですよ。
 こんなこと」
三浦「落ちた拍子に意識だけが携帯に入った
 なんてなぁ……冗談みたいな話だよね」
花実「私にとっては、冗談じゃないですよぉ
 ……」
三浦「そうだね」
   と、笑う。
   花実、顔を赤らめて笑う。
   と、そこに岬が来る。
三浦「おっ」
   と、携帯を閉める。
岬「遅れてごめんね」
三浦「どうだった?岬」
岬「ええ……」
   と、三浦の横に座る。
岬「まだ、意識が戻らないの。体は大丈夫な
 んだけど」
三浦「そ、そうか……」
花実「……」
岬「……」
   と、少し顔色が悪い。
三浦「岬、飯食わないのか?ちゃんと食べた
 ほうがいいぞ?俺の弁当食うか?」
岬「……大丈夫よ」
三浦「なんか出来ることあったら、俺に言え
 よ。その……一応彼氏なんだからさ。俺」
岬「うん。ごめんね。しばらく会えなくて」
三浦「いいさ。気にするなよ。それより、体
 に気を使えよ」
岬「うん……」
   花実、少し複雑な表情。

○同・廊下
   三浦、携帯画面を見ながら歩く。
三浦「本当にいいの?岬……いや、お姉さん
 に言わなくて」
花実「はい。言わないでください。もっと心
 配させるだけだし……混乱させちゃうし…
 …」
三浦「……まぁ、そうかもしれないけど……
 俺はちゃんといったほうがいいと思うな」
花実「……いいンです。しばらくは言わない
 ほうがいいです」
三浦「岬もかなり心配してるみたいだし……
 知らせれば全然違うと思うよ」
花実「……」
   と、険しい表情。
三浦「そしたら、この携帯を岬に渡せば、花
 実ちゃん、お姉さんと一緒にいられるンだ
 から……」
花実「いいンですっ!」
三浦「……」
   と、驚く。
   周りの生徒、三浦を見る。
三浦「……や、やっぱTV電話はすげーなぁ。
 でも、ちょっと音量下げるかなぁ〜」
   と、とぼける。
   生徒達、また向き直って歩き出す。
花実「ごめんなさい……三浦先輩。でも、も
 う少しだけ黙っててもらえませんか?」
三浦「うん、わかった。無理にいってごめんね」
花実「私こそ、大きな声を出してごめんなさ
 い……」
三浦「じゃあ、とにかく意識を戻すことを考
 えよう。花実ちゃんだって、いつまでも俺
 の携帯になんて居たくないもんな」
花実「……そ、そんなことは……ないです」
   と、顔を赤らめる。
三浦「よし、戻れる為に頑張ろう」
花実「でも、方法が……」
三浦「色々やってみようよ。色々」
花実「……」

○住宅街・道(夕)
   鞄をもって、歩いている三浦。
   三浦、携帯を開いている。
三浦「じゃあ、とりあえず。振ってみよう」
花実「へ?」
三浦「ブンブン振ってみたら、意識が飛んで
 体に戻るかもしれない」
花実「い、いやぁ……どうでしょう?」
三浦「よしっ!」
   と、携帯をブンブン振る三浦。
花実「うわああああっ!やめて〜っ!」
三浦「(止める)ご、ごめん。大丈夫?」
花実「(目が回っている)……戻るどころか
 もどしそうです……」

○三浦の部屋(夜)
   三浦、机に座って携帯を見ている。
三浦「じゃあ……今度は色々と操作ボタンを
 押してみよう。なにか起こるかもしれな 
 い」
花実「……そ、そうですね。わかりませんし
 ……」
三浦、操作ボタンをポチポチ押す。
花実「……」
   と、変な顔をする。
三浦「ん?どうしたの?」
花実「なんか、ちょっとくすぐったいってい
 うか……」
三浦「ちょっと我慢して、色々押してみる」
   と、またボタンを押す。
花実「……あっ、ちょっと。先輩。くすぐっ
 たい……あっ……ちょ、そこはぁ……あン
 っ!」
三浦「……」
   と、手を止める。
花実「はぁ、はぁ……」
   と、顔を真っ赤にして黙る。
三浦「べっ、別の方法を考えよう……」
花実「……う、うん」

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