そぼ中(シナリオ21)
 課題で描いたものです。この頃の作品はどこかチグハクな感じがして、正直納得がいってません。
評価はよろしくなかったです。。。残念。
□内容:小さい頃、祖母に「そぼろご飯」の作り方を教わる約束をしていた玉音。だが、祖母は他界。
 約束を破った祖母を見返すために玉音は自力で「そぼろご飯」を作り上げるが……。


□人  物

 友坂 玉音(ともさか たまね)(14)中学生
                (5)
 祖母(70)玉音の祖母
 紅男(29)店の店員
 子供(8)小学生
 手下

〜本編〜

○回想・玉音の家全景(朝)
   一軒家である

○同・庭
   縁側がある庭。友坂玉音(5)玉音の
   祖母(70)が座っている。玉音の手に
   はそぼろ丼。
玉音「お婆ちゃんのそぼろ、おいしい!」
祖母「そうかそうか。作った甲斐があった」
玉音「いつか作り方教えてね!」
祖母「教えちゃる教えちゃる」
   と、笑顔で玉音の頭を撫でる。
   玉音は笑顔で、そぼろを見つめる。

○同・庭
   T・9年後
   縁側に玉音(14)音が制服にエプロン
   という出で立ちで座って、手に持った
   丼を見つめる。
   そぼろご飯の丼。
玉音「お婆ちゃん…ついに出来たよ。お婆ち
 ゃんのそぼろご飯…」
   と、後ろを振り向く。
   和室に飾られた祖母の遺影写真。
玉音「…よし、お墓に持って行こう!これは
 あたしの復讐だ」

○街
   広い道路がある街中。人で賑やか。
   玉音がそぼろの丼を持ち、堂々と歩く。
   と、前から紅男(29)が電柱の影に隠
   れながらやってくる。
   手には紅生姜の入ったパック。大事そ
   うに抱えている。
紅男「奴らには見つかってないな…よし!」
玉菜「うわ…なにこの人。大切そうに紅生姜
 もって…」
   と、そこへバスがやってくる。バスか
   ら物干し竿がニュっと出てくる。
紅男「うわっ!やつらの手先が竿の先でこの
 黄金紅生姜を奪おうと画策してる!」
玉菜「はぁ?」
   と、物干し竿の先で紅生姜のパックを
   つつく。
紅男「やられてたまるか!」
   と、必死に逃げる。
   が、パックは宙に投げ出される。
紅男「あっ!黄金紅生姜〜!」
   宙に飛ぶ紅生姜パック。少し蓋が開い
   て、中身が少し出る。
   そのまま、そぼろご飯の丼へダイブ。
玉菜「…あぁ〜!!!!」
   と、宙に飛んだパックを網で拾う手下。
   ガックリと、丼の中を見つめる玉音。
紅男「か、かえせ〜!!返却しろ〜!!悪の
 紅組織〜!!」
   と、通り過ぎるバスを追いかける紅男。
玉音「・・・ちょっと、そこの紅男」
   と、紅男に近づく。
玉音「これ、どうしてくれるんじゃ!」
紅男「ウエイト〜!そのバスまってぇ〜!黄
 金の紅を届ける任務が〜!!!」
   と、玉音を無視して行ってしまう。
   玉音、一人取り残される。
玉音「…」
   と、そぼろご飯を見る。
   紅生姜だからけのそぼろご飯。
玉音「…これを作るのにどれだけ苦労したか
 …許せない…むむむむっ…」
   と、紅男の跡を追っていく。

○公園前通り
   逃げる手下。それを追う紅男。
   手下は、横断歩道を渡り公園へと走っ
   ていく。
紅男「待って!紅泥棒!俺のクビが掛かって
 るんだ!そのあたりよろしく!」
   と、信号が赤に変わる。
紅男「あっ!」
   と、止まる。
   隣で信号を待つ小学生。じっと紅男を
   見る。
紅男「信号は守らないとお巡りさんに怒られ
 るンじゃなくて、自分が危ないからね!」
   そこへ玉音が来る。右手に丼。左手に
   青ペンキ缶を持っている。
玉音「時はきたれり!いざ復讐の狼煙を!」
紅男「へ?僕?」
玉音「よくもあたしが必死で作ったそぼろを、
 赤く染めてくれたなぁっ!!!くらえ!」
   と、青ペンキ缶を投げつける。
紅男「うわっ!」
   頭からペンキを被り、体中青くなる。
紅男「うおっ!青い!限りなく青い!」
玉音「どうだ!そぼろもあたしの想いも汚し
 た罰だ!」
   と、紅生姜だらけのそぼろご飯を見せ
   付ける。
   紅男、手でペンキを拭いながら
紅男「さっき、黄金紅生姜、入っちゃったの
 か…それで…」
   信号が青になる。
紅男「あっ!じゃあ、僕行くね!そぼろ中学
 生!」
   と、横断歩道を走って渡る。
玉音「ちょっ!」
   と、玉音に押されて、小学生が転ぶ。
玉音「あっ、大丈夫?」
   と、子供を介抱しにしゃがむ。
玉音「ちょっ!待ちなさい!旨味泥棒!」
紅男「その紅生姜!すごい美味しいから、き
 っと、そのそぼろ凄い美味しくなってるよ!
 バイバイ!」
玉音「…」

○公園
   公園のベンチで子供の怪我した足にハ
   ンカチを当てている玉音。
   子供が、そぼろを見ている。
   玉音、それに気がつき
玉音「…食べたい?」
   子供、うなずく。
玉音「そっか。いいよ。でも、こんなになっ
 ちゃってるから…」
   と、鞄から割り箸を出し子供差し出す。
玉音「…昔、よくお婆ちゃんが作ってくれた
 そぼろご飯なんだよ。それ」
   子供、そぼろご飯を食べる。
玉音「作り方教えてっていったのに…お婆ち
 ゃん約束破って、天国に行っちゃってさ…。
 だから、自分で作って見返してやろうって
 思ってたんだけどな…」
子供「…これ、凄くおいしいよ」
玉音「…え?お姉ちゃんもちょっといい?」
   と、箸を受け取り一口食べる。
玉音「…あっ、この味…」
   と、驚いた表情。

○同・杉並(夕)
   杉並木を歩く紅尾。携帯で話している。
紅男「え!?もう店にこなくていい?ちょっ
 と待ってくださいよぉ。仕入れの段階で、
 敵対店に黄金紅生姜取られただけでしょう
 ?別に店長の奥さんに手を出したわけじゃ
 ないじゃないですかぁ…あっ!」
   と、携帯を見る。
   紅男、ため息…
   と、玉音が前に来る。手には空の丼。
紅男「あっ…さっきのそぼろ中学生」
玉音「よぉ。旨味泥棒」
紅男「悪かったよ…巻き込んで…ちゃんとそ
 ぼろは弁償するよ」
玉音「もう弁償してもらったからいい」
紅男「へ?」
玉音「あの紅生姜のおかげで、求めていた味
 にたどりつけたからね」
紅男「そうなの!?じゃあ、怒ってない?」
玉音「うん」
紅男「よかったぁ〜・・・」
   と、ベンチに腰掛ける紅男。
   玉音も腰を掛ける。
玉音「あたし、思った。憎んだり恨んだりす
 る前に、そこから起こった事実を見ないと
 いけないンだって」
紅男「…?」
玉音「あの紅生姜が掛かったことで、完璧に
 お婆ちゃんの味になった。怒っているだけ
 じゃきっと気付けなかった。自分の思い通
 りにいかないことだからって、全部よくな
 いわけじゃないんだって。それに…」
紅男「それに…?」
玉音「お婆ちゃんだって…本当はあたしに教
 えたかったンだと思う…そのこと考えない
 で、一人で怒って…」
紅男「…よくわかんないケド、色々人生うま
 く行かないモンだよ。僕、今さっきクビに
 なったし…」
玉音「…でも、逆にいいことがあるかもしれ
 ないよ?あたしのそぼろみたいに」
紅男「あんのかなぁ〜…」
玉音「自分でお店作っちゃうとかさっ」
紅男「なんの店作ればいいんだよ〜…」
玉音「ん〜…そぼろの店とか」
紅男「…いいな。それ。いいよ!うん!いい
 こと言うなぁ!そぼろ中学生!」
玉音「そぼろ中学生って…」
紅男「一緒にそぼろのお店を出そう!そのお
 婆ちゃんの味とやらでさっ!」
玉音「えぇ〜!」
紅男「よしっ!店の名前は『そぼ中』だ!そ
 ぼろのそぼとお婆ちゃんの祖母で!」
玉音「駄洒落…」
   と、玉音の手を握って立ち上がる。
紅男「おーっしっ!やるぞぉ!そぼ中!」
   と、天高く拳を上げる。
笑う玉音の顔。



終わり



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