喫煙はなたにとって……(シナリオ2)
 禁煙ブームに対して疑問を感じ、描きました。
□内容:近未来、ノースモーキングと呼ばれる喫煙監視員が、喫煙者をキツく取締っていた。そん中、深見は裏スモークバーを設立しようとする。


□人  物

 深見 信二(22)
 倉敷 義明(22)
 綾瀬 奈々子(20)
 白スーツ
 マスター
 監視員A
 監視員B
 監視員C
 男
 その他 エキストラ

〜本編〜

○高層ビル群、東京 昼
  街の景観が流れる
  禁煙と標識に書かれた文字
  no smokingと巨乳美女と一緒に流れる
  大型モニター
  「2018年度ついに全面禁煙法施行」と
  大きく書かれた新聞紙
  それを読んでる煙草を吸ったオッサン
  オッサンがいる公衆トイレぐらい小さ
  い全面透明アクリル板で囲まれた喫煙
  所。中には同じように煙草を吸うオッ
  サンやら若者やら沢山いる。
  電気屋の街頭TVからアナウンサー 
  「自縛党から全面禁煙法案が提出され 
   ました。衆議院で可決される可能性
  は濃厚で参議院でも・・・」
  その電気屋の前にイヤホンのほうな物
  をつけてるゾウのマスコット人形が立
  ってる
  手に煙草をもち
  「携帯清浄機で家族も安心」
  と書き文字が頭から出ている
  そのカキ文字の上に肘を置いて煙草を
  ふかす倉敷 義明(22)
倉敷「あー・・・遅ぇなぁ。あいつぅ・・」
  倉敷の前を咳をしながら通行人が通り
  過ぎていく
  倉敷それを見てわざと道に向かって煙
  を吐く
  そうしていると、横断歩道をわたって
  くる深見 信二(22)がくる
倉敷「今度からバーで待ち合わせようぜ!娑
 婆じゃあ吸ってられん」
  
○バー ストレンジャー店内 
  客はいない。店のマスターが一人新聞
  を読んでパイプをふかして座っている
  ドアを開けて入ってくる倉敷と深見。
マスタ「やぁ、来たかい」
深見「うん、あそこあけてくれよ」
  そういわれ、店の奥の床を開けるマスタ
倉敷「・・・一体何んなんだ?」
深見「こっちだ。」
  ニヤリと笑ってマスタの開けた場所に倉
  敷は倉敷を誘う
倉敷「地下室・・・」
深見「あぁ、この中だ」
  
○地下室 
  全体的に薄暗く見えにくい
  壁伝いにあるく倉敷
倉敷「なぁ?よく見えねぇぞ?深見ぃ」
  カチッと音がすると、一気に電灯が点
  き地下室全体が明るくなった。
  そこには大量の煙草のダンボールが積
  んである
倉敷「・・・・こりゃぁ・・・」
  と、あたりを見回す倉敷。
深見「2ヵ月後に全面禁煙法が施行される。
 そしたら煙草を吸うことはこの国ではでき
  なくなるからな」
  と、奥から煙草を銜えて出てくる深見
  倉敷、深見の方を振り返り
倉敷「・・・溜め込んでるのか?」
  深見、銜えた煙草に火をつける
深見「ここで、地下スモークバーをやるん
 だ!いくら法律が禁止してもここなら吸い
 放題!」
倉敷「まじかよ」
  深見、倉敷に煙草を一本箱から出して
  差し出す
深見「あぁ、禁止したって吸いたいモンは
 吸いたいだろ?だからその場所をつくる」
  倉敷煙草を一本貰ってくわえる
倉敷「・・・・煙草のアルカポネになるのか
 ?」
  深見、ライターの火をつけて倉敷に差
  し出す
  倉敷、その火を貰い煙草に火をつける
深見「 儲かるし、吸えるし、ウハウハのス
 パスパだぜ!」
  倉敷、一瞬止まって
倉敷「俺も乗っていいか?その話」
深見「そう言ってくれると思ったぜ!」
倉敷「しかし、考えたな」
深見「そうでもないぜ、だって俺が吸いたい
 からな」
  そういって笑う二人
深見「ここのマスターも協力してくれるし、
 共感して出資してくれる人も沢山いる
 んだ」
倉敷「そんなに進んでるのか!すげぇな」
深見「おう!」
倉敷「・・・でも、あいつらどうするんだ?」
深見「まぁな・・・あいつらがなぁ・・」
倉敷「あいつ等は・・・やばいぜ・・」
  
○東京の道路
  走る一台の黒い車が走っている。
  頭に白いライトをつけている。
  車の中から外見ている白いスーツを着
  た男
白スーツ「・・・・止めろ」
  車は止まり、白スーツがドアを開けて
  出てくる
  早足で公園のベンチで煙草を吸う男の
  所へと歩く
  煙草を吸ってる男は白スーツを見ると
  あわてて逃げようとする
  白スーツ、男の襟首を後ろからつかみ
白スーツ「貴様・・・ここをどこだと思って
 る」
男「す、すいません!」
  白スーツ、いきなり喫煙者を殴り飛ば
  して蹴りを入れる
  それを無言で見ている野次馬達
  そして胸倉を掴んで
白スーツ「ここは禁煙区域だ!貴様の煙でも
 し誰かがガンで死んだらどう責任をとるの
 だ!
 そういってさらに蹴りをいれる
 口から血をはく男
 白スーツ倒れる男につばを吐き捨て
白スーツ「喫煙者に人権など無い!」
  
○カフェ
  お洒落なカフェ。全面ガラス張りで綺
  麗
  深見と倉敷がカフェにいる
  深見書類を机に出して
深見「NPO法人ノースモークス 地方自治体
 や東京都、および警察が委託している
 違法喫煙を専門に取り締まる会社だ。」
倉敷「こいつらが一番やっかいだ。警官なん
 ぞは敵じゃないがな」
深見「あぁ、こいつらの“喫煙監視員”って
 のがえらく手荒だ。」
倉敷「なんでもありな連中だからな」
深見「始まった当初、ゴロツキやチンピラに
  対処が困難な為に民間委託の範囲が拡大
 して、ある程度の自己防衛的対処が認め
 られいる」
倉敷「そのために、警棒や下手すりゃ拳銃を
 もってる連中もいるんだぜ?行き過ぎた過
 剰防衛と問題にもなってるが・・・」
深見「この禁煙ブームのさなかじゃあマスコ
 ミも大して取り上げない。今じゃ、やつら
 は増徴して喫煙者をカモにストレス解消し
 てるのが現状だ」
倉敷「こいつらに俺らのやろうとしているこ
 となんぞばれたら確実に潰されるぜ・・・」
  深見は書類の上に銃を置く
倉敷「お、おい!これ!」
深見「モデルガンだよ。でも、やつらに捕ま
 りそうになったらちょっとは使えるだろ?」
倉敷「・・・・逃げることはできるかもな」
  倉敷は銃を手にとり胸にしまった
深見「まぁ、自衛策はそれが限界としても、
 そのあたりに対する根回しが必要だ。」
  うなずく倉敷
深見「警察組織にも俺たちの考え方に賛同
 する人間を探す」
倉敷「今回のようにか?」
  倉敷、親指で店の奥を指す。そこにい
  るスーツの男が近づいてくる
スーツの男「深見さんと倉敷さんですか?」
  深見と倉敷、立ち上がって一礼する
スーツの男「私、こういうものです」
  そういってスーツ男は名刺を取り出す
  名刺には「ジャパン煙草産業株式会社
  営業部長 八島 隆弘」と書かれてい
  る
八島「我社が全面的にご協力をいたします」
  
  
ナレーター「深見たちはこうして多くの愛煙
 家および、企業からの協力、支援を得てス
 モークバー立ち上げを着実に進めていった
 時は流れて、2018年2月。全面禁煙法施行
 まで2週間と迫っていた」
  
○ファーストフード店
  店の中、客は8割ほど入っている
  その奥に喫煙席アクリル張りの2人座 
  れるほどの席で倉敷、綾瀬 奈々子
  (20)と会っている
  倉敷が煙草に火をつける
奈々子「煙草吸わないでよ・・・」
倉敷「え?なにいってんだよ?ここは喫煙席
 だぜ?」
  奈々子、自分のお腹をさすって
奈々子「だって・・・赤ちゃんに障るじゃな
 い・・・」
  煙草をくわえたまま唖然とする倉敷
倉敷「・・・ほんとか?」
  奈々子、コクリと首を縦に振る
倉敷「そうか・・・」
  しばらく黙り込む二人
倉敷「・・・結婚しよう。奈々子」
  倉敷は笑顔で言った
奈々子「・・・本当?」
倉敷「うん、本当」
奈々子「・・・無理してない?」
倉敷「無理なんて!あぁ、そうか」
  倉敷は急いで煙草を灰皿に押し付けて
倉敷「禁煙席に行こう」
  喫煙席に向かう二人を見ているノース
  モークスの男達がいる
  
○バーストレンジャー店内
  客はいない
  深見、煙草をふかしながら座っている
  店のドアを開ける音がする
  店内に入ってくる倉敷と奈々子
深見「お、彼女も連れてきたのか?」
倉敷「・・・あぁ」
  席につく倉敷と奈々子
深見「まぁ、吸えよ」
  と、箱から一本出して煙草を勧める
倉敷「いや・・・」
  と、手を振って深見の煙草を断る
倉敷「あのさ、俺、赤ん坊ができたんだよ。」
  煙草をくわえたまま固まる深見
深見「・・・・お前妊娠したのか?」
倉敷「いや、違くて・・・こいつがさ」
  奈々子、深見を見て一礼する
深見「・・・あ、そうか」
倉敷「おう」
  深見、煙草を灰皿に押し付ける
倉敷「それでさ、俺たち結婚しようと思って
 んだ」
深見「そりゃ・・また・・・」
マスタ「それは、めでたいね」
倉敷「ありがとう、マスター」
深見「あ、うん。おめでとう倉敷」
倉敷「それで、わりぃんだけどさ・・・
 俺、煙草やめようと思う」
  深見、マスターも一瞬止まる
深見「・・・・・」
倉敷「それで、俺まじめに働こうと思ってん
 だよ・・・
深見「・・・・・」
  倉敷、深見に頭を下げて
倉敷「殴ってくれ!」
  奈々子も深見に頭を下げる
  それを聞いてしばらく黙る深見そして
深見「いや・・・いいよ。頭上げろ」
  倉敷頭を下げたまま
倉敷「・・・でもよ」
  深見、倉敷の腰を軽く叩いて
深見「気にするなよ。バーは俺一人でなんと
 かするからよ!」
  倉敷、さらに深く頭を下げて
倉敷「すまない・・・!」
深見「大丈夫、協力してくれる人も一杯いる
 し、それに今から営業に会いに行って仕入
 れの話もつめるしよ。」
  うなずくマスター
倉敷「ごめん!」
深見「でも、たまには遊びにきてくれよな」
  そういって倉敷の肩を叩いて席を立つ
  深見
深見「俺、そろそろ営業のところに行くから
 よ」
倉敷「俺も・・」
  深見、手を振って
深見「いや、彼女といてやれよ」
  店のドアに手をかける深見
倉敷「・・・ごめん。」
  と頭をさげる
深見「結婚式、呼べよな。」
  そういって出て行く深見
倉敷「・・・・あ、しまった」
  倉敷、胸からモデルガンを取り出して
倉敷「戻ったら返すか・・・」
  
○公園 
  かなり大き目の公園 人はまばら
  禁煙の大きな看板が立っている
  深見、時計を見て
深見「遅いな・・・」
  すると喫煙監視員が深見に何人か近づ
  いてくる
監視員A「深見信二だな・・」
深見「・・・」
  振り返って走って逃げ出す深見
  しかし、すぐに捕まり監視員達に取り
  押さえられる
深見「ぐっ・・・」
監視員A「ノコノコ現れやがって!このクズ
 が!」
深見「・・・まさか・・」
監視員B「そうだよ!てめーは引っかかった
 んだよ!」
深見「あの営業は!?」
監視員「俺たちノースモークスだ!」
  さらに押さえ込まれ頭を地面にこすり
  つけられる深見
深見「・・・チクショウ・・・」
監視員A「お前の店も、もう差し押さえた頃
 だろう。終わりだよ」
深見「!!」
監視員A「てめーも仲間全員ブタ箱行きだ」
  深見の脳裏に倉敷のことが思い浮かぶ
  倉敷『それでさ、俺たち結婚しようと思っ
  てんだ』
  深見歯を食いしばり
深見「あ、あそこに喫煙者がいるぞ・・」
  監視員がそっちを向いた途端
  腕を振り解いて走る深見
監視員A「に、逃がすな!!」
  追ってくる監視員を尻目に走る深見
  
○バー ストレンジャー前
  バーを囲んでいるノースモークスの男
  達と警官が合わせて20名ほどいる
  それを囲むように野次馬が群がってい
  る
  深見が走って戻ってくる
  その光景に唖然とする深見
野次馬「なんか銃をもって立て篭もっている
 みたいよ」
深見「・・・・!」
  深見は野次馬を押しのけてバーの前が
  見える位置まで行く
深見「ちょっと!どいて!」
  すると白スーツが警察になにかいって
  いるのが見える
白スーツ「やつらは武装している。危険だ
 出てきたらすぐに撃ったほうがいい。。。」
深見「おい!あんたら待て・・・」
  その時、店内から倉敷の大声がする
倉敷「彼女は関係ない!!だから外に出す!」
  ドアをあけて奈々子が出てきた
深見「よせ!!!!」
  深見は手を上げて止めに走る
  ターンっとその時音が響いた
  ドサリと奈々子は倒れた。その下からは
  大量の血をながれてきた
  深見、それを見て止まる
  その時、倉敷がドアから飛び出して
  撃たれた奈々子を抱き寄せる
倉敷「奈々子!奈々子!」
  動かない奈々子の体をゆする
  そして警察とノースモークスに銃を突
  きつけ
倉敷「なんで撃ったんだ!!」
  警察に叫ぶ深見
深見「撃つな!」
  パンパンパンっと乾いた音が響いた
  深見は彼女に折り重なるように倒れた
倉敷「・・・・」
  それを見て愕然とヒザから崩れ落ち
  うつむく深見
  白スーツが野次馬に向かって叫ぶ
白スーツ「やつらは武装している犯人だ!人
 殺しだ!喫煙で国を滅ぼそうとする悪だ!」
  白スーツは片手に拳銃をもってそうい 
  った。
  深見、白スーツを睨みむかっていく
  白スーツ深見に気づき銃を向ける
白スーツ「貴様!深見信二!?」
  深見、無言で白スーツに殴りかかる
  白スーツそれを避けるが、もみ合いに
  なって深見に倒される
  周りの警官に捕まれる深見
  深見、引き剥がされそうになりながら
  も白スーツの胸倉を離さず
深見「なんで!なんで!なんで!おまえら 
 は!」
  それを見ている警察官、それを見てい
  る野次馬みんな白い目をしている
深見「なんで!なんで!なんで!おまえら 
 は!おまえらは!そうやって!ゆがんでる
 んだ!」
深見「間違ってる間違ってる!間違ってる!
 お前らの正義なんて!お前らの法律なん 
 て!間違ってる!お前らのモラルなんて!
 間違ってる!」
  引き剥がされる深見、しかし無理やり
  その手を振り解いて倒れている白スー
  ツのところに走っていく
深見「お前らは!」
  飛び掛る深見
  しかし、白スーツが銃で深見の腹を
  殴る
深見「おまえら・・・の・・・まち・・あ
 が・」
  そのまま白スーツの上に倒れこむ
  白スーツは深見を跳ね除けて立ち上が
  りさらに深見の腹を何度も蹴る
  口から血を噴出して倒れる深見
深見「ぶぐぅ!」
  白スーツが両手でスーツを直し
白スーツ「ふんっ」
  と、いって踵をかえすと
  深見は震えながら、煙草を一本取り出
  し口にくわえて火をつける
  それをみて白スーツは振り返り、怒り
  に表情を引きつらせ、声を荒げていう
白スーツ「まだ、吸うか!この人殺しめ!」
  パンッと乾いた音が響いた
  深見の吸った煙草の煙が空にあがって
  いく・・・


終わり



BBS

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