最初にキス(シナリオ17)
 最近、恋愛モノが多いなと感じてます。この作品も結局恋愛モノになってしまったのですが、かなり恋愛してます。僕の作品では珍しいぐらいの恋愛モノです。
□内容:隣に住む幼馴染の花穂は、アイドルとしてデビューしていた。そんな花穂に好意を持っている翔太。ある日、花穂が翔太に相談をしにやってくる。。それはキスシーンの練習台になって欲しいというものだった…。


□人  物

 国中 翔太(14)中学生
 黒川 花穂(14)中学生アイドル
 国中 真美子(37) 翔太の母
 国中 翔吉(6ヶ月)勝田の弟
 松井 大(17)ジーニアズイケメンアイドル
 スタッフ

〜本編〜

○住宅街
   一軒家が見える。
   表札には黒川。
   そのとなりも、一軒家が見える。
   表札には国中とある。
真美子の声「ホント可愛いモンねぇ〜」

○国中邸(リビング)
   台所が見えるリビング。ソファがあり、その横にベビーベットがある。
   そこに翔吉(六ヶ月)が寝ている。
   ソファに腰を掛けて雑誌を読んでいる国中真美子(37)
   雑誌は「ザ・テレビラン」
   国中翔太(14)台所で歯磨きをしている。
翔太「あん?」
   と、真美子のほうを振り返る。
真美子「花穂ちゃん。こんなだよ」
   と、「ザ・テレビラン」を開いて翔太に見せる。
   そこに、花穂の顔が載っていて横に「新進気鋭の美少女!黒川花穂!初主演!
   相手役は今話題のジーニアス事務所のイケメン俳優、松井大!」とある。
翔太「……あぁ……」
   と、口をゆすぐ
真美子「ホラホラ、隣に住んでる花穂ちゃんでちゅよぉ〜。可愛いでちゅねぇ〜。翔太
 お兄ちゃんと幼馴染みとは思えまちぇんねぇ〜」
   と、翔吉に雑誌を見せる。
翔太「つーか、買い物行くんだろぉ?早く行けよ」
真美子「あぁ、そうだった。特売セールでちた。行ってきまちゅ〜」
   と、開いたまま雑誌を置き買い物かごを持って部屋を出る。
真美子「そんじゃあ、翔吉のことよろちくねぇ〜」
翔太「はいはい」
   と、真美子、部屋を出て行く。
翔太「……」
   と、置かれた雑誌を見る。
   花穂の笑顔が写っている。
   翔太、少し赤くなっている。
   ピンボーンと、呼び鈴が鳴る。
翔太「おおっ(驚いた様子)」

○同・二階・翔太の部屋
   ベットが置いてあり、TVやゲームがある。
   ベットに腰を掛ける黒川花穂(14)。
   翔太、ゲームソフトをセットしている。
花穂「やっぱり、買ってたね」
翔太「つーか、毎回新作出るたんびにくるな。お前」
花穂「い〜じゃん。お隣なんだしさっ」
翔太「イヤなやつ」
   と、TVに格闘ゲームのオープニングが出る。
   と、花穂ゲームのコントローラーを持つ。
花穂「さてさて……」
翔太「つーか、お前大丈夫なん?」
   と、翔太もコントローラーを持つ。
   格闘ゲームの対戦がはじまる。
花穂「なにが?」
翔太「なんか、映画出るん……だろ?」
花穂「うん」
翔太「忙しくないんか?」
花穂「う〜ん。普通かな?」
翔太「そ、そうか……」
花穂「まぁ、ちょっとその映画のことで相談もあったんだよね」
翔太「な、なんだよ」
花穂「あのさぁ……実はね。キスシーンがあるんだよね。あの映画」
翔太「!?」
   と、格闘ゲームのキャラクターが殴られる。
翔太「……キ、キスシーンン?」
花穂「そそ、それでさぁ。あたし困っちゃってさぁ」
翔太「お、おう……」
花穂「だって、あたしキスしたことないじゃん」
翔太「!!」
   と、ゲームのキャラクターが大きな技を食らう。
翔太「そ、そうなんか……」
花穂「……で、翔ちゃんとキスしようと思って」
翔太「!!!」
   ゲームキャラクターが断末魔をあげて吹っ飛ぶ。
翔太「……」
   TV画面に勝負アリと出ている。
   花穂、コントローラーを置いて翔太を見る。
花穂「ダメ?」
翔太「な、なに言ってんだよっ」
花穂「うまくできないかもしれないからさぁ。手伝ってよ」
翔太「……い、いや」
   花穂、目を閉じて、口を摘むんで顔を出す。
花穂「んっ」
   翔太、それを見てゴクリとつばを飲む。顔は真っ赤。
翔太「……バッ、バカじゃねぇの。お、お前となんかとするわけねぇじゃんかっ」
花穂、目を開けて悲しそうな顔をする。
翔太「あっ……」
花穂「……最初にキスするのは大好きな人がいいって思ってたのにな……」
翔太「えっ……いや……」
花穂「……」
   と、うつむく。
翔太「い、いやあの……」
花穂「うっそーん!本気した?」
翔太「え?」
花穂「ウソウソ。翔ちゃんなんかとするわけないじゃん!ホントは翔吉ちゃんで
 練習させてもらうつもりで来たんでした」
翔太「……」
   花穂、立ち上がる。
   と、部屋のドアに手をかける。
翔太「……ったく、驚かせんなよっ」
花穂「……」
   花穂、ノブに手をかけて少し悲しそう顔。
花穂「じゃあ、翔吉ちゃんのところへいきまーす」
   と、笑顔で振り向いてから部屋を出る。
   一人残される翔太。
翔太「……はぁ(ため息)」

○同・玄関前(夕方)
   花穂と翔太がいる。
花穂「じゃあ、明日華坂公園で撮影するから、来てねっ」
翔太「なんで俺がいかなきゃならねぇんだよ」
花穂「あたしのファーストキッスが見れるんだよ?」
翔太「ウエッ、見たくねぇ」
花穂「うわ、最悪のリアクション」
翔太「絶対行かないから頑張れ」
花穂「あっそ。別にいいけどねっ」
   と、歩き出すが、振り返り。
花穂「……あのさ、翔ちゃん」
翔太「いかねーぞ」
花穂「……君ゲーム、弱すぎだから」
翔太「ほっとけ」
花穂、笑って去る。
翔太「……」

○華坂公園
   撮影スタッフが配置をしている。その周りにやじうまが出来ている。
   やじうまの中に翔太が隠れるようにしている。
翔太「……来ちまった」
   スタッフの中で、化粧を確認されている花穂。
   その横に松山大(17)がいる。
   松山、なにやら花穂に話しかけている。
   花穂、楽しげに会話をしている。
   翔太、不機嫌な表情で見つめる。
声「ハイ!じゃあ、キスシーンの本番いきまーす!」
   と、花穂と松山が配置に走る。
   二人は、向かい合って立つ。
翔太「……い、いきなりか……」」
   静まり返る。
声「シーン21!カット20!はい!」
   と、カチンコが鳴る。
松山「奈緒ちゃん……俺……」
花穂「……わかってる。あたし、もう迷わないよ」
   見つめ合う二人。
翔太「う……」
花穂「……」
   と、固まっている。
翔太「……?」
声「カット!カット!」
   と、声がかかりスタッフが花穂のところへ走っていく。
スタッフ「花穂ちゃん、そこでキスだから。大丈夫?」
花穂「は、はいっ。ごめんなさいっ」
スタッフ「それじゃあ、もう一度いきます!」
   カチンコ鳴る。
花穂「……わかってる。あたし、もう迷わないよ」
   見つめ合う二人。
花穂「……」
   と、体を松山に寄せる。
花穂「……あっ」
   とうつむいてしまう。
声「カット!カットォ!」
花穂「す、すみません」
   と頭を下げる。
声「もう一度いきまーす!」
   花穂、少しうつむいている。
翔太「……花穂?」
   と、花穂を見ている。

○華坂公園
   やじうまが随分と減っている。
声「カット!カット!カットォオ!」
   花穂と松山が変わらず向かい合っている。
   花穂はうつむいている。
   スタッフが花穂になにか言っている。
   花穂、うつむいている。
翔太「……花穂……」
   スタッフ、元の位置に戻りながら。
スタッフ「次こそお願いしますよっ!!ったく、日が暮れちまうよ」
花穂「……」
   と、カチンコの音。
松山「奈緒ちゃん……俺……」
花穂「……わかってる。あたし、もう迷わないよ」
   見つめ合う二人。
花穂「……」
   と、松山に近づく。
   花穂、顔をゆっくり松山に近づける。
翔太「……」

○フラッシュ
花穂「……最初にキスするのは大好きな人がいいって思ってたのにな……」

○華坂公園
翔太「……」
   と、目を瞑る。
   花穂の顔が松山にどんどん近寄っている。
   翔太、目を開けて
翔太「うわあああ!」
   と、スタッフのいる位置までわざとらしくコケる。
   花穂、目を開けて翔太の方を見る。
声「あ〜!!なんだよ!こいつはぁ!!」
翔太「あたたた……」
   と、膝を撫でていると、スタッフが来て
スタッフ「ったく、困るヨォ君ぃ!」
   と、翔太は花穂のところまで走る。
スタッフ「おっ、おい!」
   そして花穂の手をとって走る。
花穂「えっ!?」
翔太「行こう!」
   そのまま去る二人。
   呆然とするスタッフ達。
スタッフ「おっ!おい!ドロボー!!」

○同・トイレ裏
   息を切らしている花穂と翔太。
花穂「なっ、なにすんのよっ!それに、来ないんじゃなかったの!?」」
   翔太、息を切らしている。
花穂「あ、あたし戻る!」
   と、翔太は花穂の手を掴む。
花穂「!?」
翔太「はぁ……はぁ……や、やっぱキスするよ……」
花穂「え?」
翔太「俺、お前とキス……やっぱする」
花穂「……なっ、あっあれは冗談っていったじゃん……」
翔太「……俺が……俺がしたい……」
花穂「え……」
翔太「俺が……いやなんだよ。やっぱ、最初にキスするのは、俺がいい」
花穂「……バ、バカじゃないのっ。か、彼氏でもないのに」
スタッフの声「おいっ!早く探せ!」
   花穂、声のほうをむく。
翔太「はぁ……はぁ……」
花穂「……だったら、あの時言えばいいのに……」
翔太「……そ、そうだけど……」
花穂「……」
花穂、翔太のほっぺにキスをする。
翔太「!」
花穂「はいっ、最初にキス」
   翔太、呆ける。
   花穂、少し赤くなっている。
翔太「……唇にキスするんじゃねぇの?撮影って」
花穂「え?ほっぺだよ?」
翔太「はぁあ??ほっぺぇ?」
花穂「唇だと思ったの?」
翔太「……なっ、なんだよぉ〜」
   花穂、笑う。
花穂「……でも、したからね最初にキス。翔ちゃんと」
翔太「……お、おう……」
   スタッフが二人を見つける。
スタッフ「あっ!いた!」
   二人、振り返る。

○華坂公園
   スタッフが撮影している。
   そこに花穂と松山がいる。花穂、松山のほっぺにキスをしている。
声「はい!OK!」

○国中邸前
   翔太と花穂が歩いてくる。
翔太「ほっぺくらい、どうってことないだろに……」
花穂「ほっぺでも、キスはキスだもん。イヤだよ」
翔太「……すげー俺、怒られたし……」
   と、肩を落としている翔太。
   花穂、それを見て笑う。
花穂「でも、唇にキスする撮影があったらどうしょうか?」
   と、翔太を覗き込む。
翔太「……」
   と、花穂は翔太に顔を近づける。鼻がくっつきそうなくらい。
翔太「お……おう」
花穂「その時も、今日みたいに撮影の邪魔しにくる?」
翔太「う……たぶん……」
花穂「たぶん……」
翔太「……」
花穂「たぶんじゃ困るなっ」
   と、目を閉じる。
   チュ
   っと、音がする。


終わり


BBS

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