アイドルザムライ・ジュジュ・ナナ(シナリオ10)
 アイドルが刀を振るって書いていたら思いついたのでシナリオにしてみました。あまり普通にならないように気をくばりましたがどうでしょう?
□内容:新人アイドルの純那は、初主演映画に意気込んでいた。しかし、監督はリアリティを求めて彼女にとんでもないことをさせる。


□人  物

 當 純那(17)(あたり じゅんな)新人アイドル
 マネージャー(表記ではマネ)(32)なんでも大丈夫という男性マネージャー
 ナカM氏(40)リアリティを求めすぎるアクション監督。
 私腹肥志太郎(70)悪徳国会議員。デブでハゲでカイゼル髭。
 秘書(25)いかにもな慇懃無礼さ。
 その他エキストラ


〜本編〜

○純那、歌っている場面
  純那がアイドル衣装を身にまといス
  テージでダンスしながら歌っている。
純那「みんなアイドル♪みんなの為に私
 は戦う♪みんなの思いを刀に乗せて♪今日
 も奮う心の剣!アイドルザムライ ジュジュ・
 ナナ♪」
  画面が切り替わり、純那がジュジュ
  ナナに扮している。
  「主演、新人アイドル當純那」
  映画のタイトル映画の題名――「映画 アイ
  ドルザムライ ジュジュナナ」
  黒バックで――「近日公開予定」
  
○街中(都会)
  その映画の宣伝が映し出されている巨大
  モニターを見つめる純那の顔。
  アルタ前みたいな感じ。人で賑わってい
  る。大きなTVモニターがビルについて
  いる。
  純那の横にいるマネが笑顔で
マネ「大体的に宣伝も打ってるし、頑張らな
 いとなっ純那!」
純那「(腕のアザを見て)でも演技指導、厳
 しすぎるよ」
マネ「それだけ監督のナカM氏も真剣なんだ
 よっ。初の主演だし、頑張ろう」
純那「ハァ……、行きたくないなぁ……」
マネ「そんなこと言わないで。そうだ、終わっ
 たらお肉でも食べに行こう!」
純那「……太る」
  
○稽古場
  大きな稽古場。鏡張り。監督や助監督が
  長テーブルに座っている。
  純那、模造刀を持っている。
先生「もっと、胎を入れる!胎!胎ァ!」
  と、純那に容赦なく打ち込みを入れる。
  それをなんとか受ける純那。
純那「はっ、はい!」
  それを見つめるナカM監督。
  必至に先生の打ち込みを受ける純那。
  ナカM、手を叩いてそれを止める。
  純那、息を切らせてナカMを見る。
ナカM「よし、次は体に重りをつけてやって
 みるんだ!10キロくらい」
純那「(不満そうな表情)……は、はい」
  
○焼肉屋さん
  牛角みたいな焼肉屋。
  純那とマネが焼肉をしている。
マネ「純那、ご苦労様。明日から撮影だって
 さ!」
純那「本当!?」
マネ「さっき、監督のナカM氏から電話があっ
 たんだよ」
純那「よかったぁ……よーし、明日に向けて
 一杯食べて頑張ろ!」
  と、食べだす純那。
  
○ロケバスの中
  ロケバスが止まっている。その中で、台
  本を読む純那(衣装着)と、TVを見て
  いるマネ。
  
○TVの映像
  私腹肥志太郎の顔が映る。
TVの声「私腹議員は、愛人を議員宿舎に住
 まわせ囲っていたという事実が発覚し……」
  
○ロケバスの中
純那「(顔を上げて)あのさ、これなんだけ
 どさ」
マネ「ん?なに?」
純那「(役者の欄を指して)悪徳議員役の人
 の名前が書いてないケド、いいの?」
マネ「え?あぁ、ただの誤植でしょ?大丈夫
 大丈夫」
純那「大丈夫なのかな……」
  TVには私腹肥志太郎の事務所が移って
  いる。
  それを、なにげなく見つめる純那。
  ロケバスのドアが開いて
スタッフ「純那さん!お願いします!」
純那「あっ、はい!」
  と、立ち上がる
  
○事務所前
  私腹肥志太郎の事務所がTVに写ってい
  た通りに見える。
純那「あれ?ここ……」
ナカM「リアリティを出すためには、本物の
 悪徳議員の事務所で撮るのが一番だ!」
純那「(マネに)ちょっ、ちょっと……」
マネ「大丈夫大丈夫、借りただけだよ!」
ナカM「そんじゃあ!撮るよ!」
  と、言われ純那戸惑いながらも立ち位置
  へ。
声「シーン8カット7!」
  と、いってカチンコを鳴らす。
純那「私の刀が共鳴してる……気がする!と、
 いうことはここが奴のアジト!」
  と、腰の刀に手を添える。
純那「行くわよ!ジュジュナナ!」
  と、事務所のドアを開ける。
  
○事務所
  秘書や、事務員がいる。普通の事務所。
純那「私腹肥志太郎!出て来なさい!」
  ポカンとする事務所の人たち。
秘書「あ……あの、内の私腹になんの御用で
 しょうか?」
純那「(戸惑いながら)えっ……?あっ……」
ナカM「続けて!そのまま!」
純那「ここにいるのは、分かっていると思う
 わよ!さぁ、顔を出しなさい!」
秘書「は……はぁ…?」
ナカM「はい!そこで殴る!」
純那「(気付いたように)あっ、抵抗するの
 ならっ!」
  と、秘書を殴り飛ばす。事務所の人たち
  驚く。
事務員「けっ、警察!」
  と、受話器をとる。
ナカM「そこで電話、蹴り飛ばす!」
純那「仲間なんて呼ばせないわ!」
  と、机をスライディングするように電話
  を蹴り飛ばす。
マネ「いいよっ純那!光ってるよ!」
  さらに、事務所内で暴れまわる純那。
  逃げ惑う事務所の人。
  純那、議員部屋のドアの前に来て
純那「ここに隠れているのね!ダサいわ!」
  と、ドアを蹴り破る。
  
○私腹議員の部屋
  高級な机と高級な革の椅子がある。
私腹「(椅子に隠れて)ヒィィイっ!」
純那「悪党め!」
  私腹へと走り、引き釣り出す。
純那「私腹肥志太郎!お前の愚行、普通のア
 イドルが許してもアイドルザムライのジュ
 ジュナナは許さないわ!」
ナカM「力一杯!斬る!胎で斬る!」
  純那、振りかぶる。
純那「アイドル!ダンシングソード!」
  と、踊るように私腹を切伏せる。
私腹「ギャァ!」
  と、倒れこむ。
私腹「(倒れながら)一体、何モノ……?」
純那「みんなアイドル、みんなの為に私は戦
 う。みんなの思いを刀に乗せて、今日も奮
 う心の剣!私の名前はジュジュ。アイドル
 ザムライ ジュジュ・ナナ♪」
私腹「キュゥ〜」
  と、気絶。
ナカM「はい!外に出る!」
  純那、その場を走しり去る。
  
○事務所前
  事務所をバックに歩く純那。持っている
  刀を鞘に納める。
  その瞬間、事務所爆発。
純那「(振り返り見つめて)地獄の沙汰は人
 しだい」
ナカM「はいっ!!カットォォォオ!」
  わぁっと、純那に集まるスタッフ。
マネ「いやぁ!最高!純那最高だったよ!」
ナカM「素晴らしかった!君はラズベリー候
 補だよ!最高だった!感動した噛んだ!」
純那「(戸惑いながら)あ……、ありがとう
 ございます……」
  爆発して炎上する事務所。
純那「……いいのかなぁ」
  その前で盛り上がるスタッフ達。
  
○コンサート会場前
  ――数ヵ月後
  
○コンサート会場
  ステージで歌っている純那。
  可愛らしく踊って、歌が終わる。
純那「ありがとうございましたぁ!」
  拍手と興奮の声が返ってくる。
  
○楽屋前・廊下
  純那、コンサートを終えて歩いている。
マネ「(やってきて)よかったよー!純那!
 はいこれ」
  と、刀を純那に差し出す。
純那「え……?」
マネ「あの映画の続編が決まったんだよ〜!」
純那「ウソ……」
ナカM「続編はジュジュ・ナナがテロ組織と
 戦う大スペクタイルだ!」
  と、廊下の向こうで叫ぶナカM氏。
マネ「頑張ろうね!」
  純那、引きつった表情。
  
○ポスター
  純那が刀を持って、バックの怪獣を見据
  えているポスター。
  書かれているコピー「アイドルザムライ!待
  望の続編!乞うご期待!」
  
  終わり


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