赤い日記(シナリオ24)
 課題作品。「赤い屋根」とうい短編小説を元にした脚色モノです。描いてて結構楽しかったです。
(UPしても大丈夫なのかな?ま、いいか)
評価はまだもらってないので、不明。ボク的にはもっと主人公とミサの絡みがほしかったなぁ。
□内容:ミサに対して密かに恋心を抱く真吾。真吾はミサの日記を勝手に見てしまう。そこにはミサの別の一面があった。

□人  物

 名坂ミサ(24)メイド
 間宮真吾(14)学生
 風間武(30)泥棒


〜本編〜

○間宮邸
   大きな洋館である。庭が広くいかにも
   豪邸。

○同・ミサの部屋
   質素な部屋。机と椅子がある。その前
   には開いた窓。机の上に赤い日記。
   間宮真吾(14)が隠れるように窓脇の
   壁に張り付いている。
   窓の外をゆっくりとのぞく。
   名坂ミサ(24)が庭を掃いている。メ
   イド服。
真吾「……」
   ミサの横顔。少し伏目がち。
   真吾、見とれる。
   ミサの唇。ミサの胸。と視線は下がっ
   ていき。
   ミサが、ふいにこちらを見る。
真吾「うっ!」
   真吾、慌てて隠れる。
   ミサのところに執事が来ている。
   真吾、また窓をのぞく。
   ミサ、執事に頭を下げている。謝る
真吾「……」
   と、机上の赤い日記に気づく。
   窓の外を確認して、日記を手に取る。
真吾「……若さゆえの過ち……許せミサ」
   と、日記を紐解き、パラパラとめくる。
真吾「……え〜っと、新しいところから」
ミサの声「3月25日、今日は睡眠時間が少な
 かった」

○回想 同・廊下(夜)
ミサの声「昨日のせいだ」
   豪華な廊下。窓が幾つも並ぶ。灯りは
   なく暗い。
   窓からは三日月が見える。
   懐中電灯を持って歩くミサ。
ミサ「ふぅ……」
   と、壁にもたれかかる。
   そのままずり下がるように座り込む。
   懐中電灯で、自分の手を照らす。
   傷だらけで荒れた手。
ミサ「……サイアク」
   懐中電灯を手の平に当てて、影を壁に
   映す。
   大きな手の影。
   懐中電灯を手に近づけたり離したり。
   影は大きくなったり小さくなったり。
   大きくなった手の影。まるで自分を掴
   むように手を握る。
ミサ「ガシ……」
   と、握ったまま影を小さくする。
ミサ「ポーン……」
   風間が壁に隠れてその様子を見ている。
風間「フッ……」
   ミサ、驚いて懐中電灯を風間に向ける。
ミサ「だっ、誰!?!?」
   風間、出てくる。
ミサ「どっ、泥棒……?」
   と、風間がミサの手を掴み口をふさぐ。
   と、ナイフをミサの背中に突きつける。
ミサ「……」

○回想 同・地下室
   小さい階段がある。部屋は小さい。大
   きな金庫がある。
   電球がつく。
   ミサと風間がいる。風間、ミサにナイ
   フを突きつけている。
風間「地下室か……すごいもんだな」
ミサ「……」
   風間、金庫のダイヤルを回す。
風間「さてさて……」
ミサ「……どうしてこんなことするんです
 か?」
風間「金がほしいからさ」
ミサ「でも……よくないことです」
風間「じゃあ、君はなんの為に働いている?
 こんな夜中も一人で夜回り、せっせとご主
 人様に尽くしている。その理由は?」
ミサ「それは……」
風間「そんなモンさ。つまらんことして金を
 もらうより良いさ」
ミサ「つまらないなんて……思ってません」
   風間、振り返り。
風間「嘘だな」
ミサ「……」
風間「さっきの君はそんな風には見えなかっ
 たな。まるで、ここから逃げ出したい。そ
 んな風にも取れた」
ミサ「そ、それは……」
   風間、金庫を開ける。
風間「随分あるな。こりゃ一回じゃ無理だ」
   と、袋にお金を入れていく。
ミサ「……」
   風間、袋を担ぐ。
風間「じゃあ、お暇させてもうらよ」
ミサ「……連れて行ってください。私も」
風間「ん?」
ミサ「私……嫌なんです。このままなにも出
 来ずここにいることが。あなたの言うとお
 り嫌なんです……」
風間「なにを言い出すんだ?お前は」
ミサ「両親の借金の返済の為にここに居るん
 です。だから……っ」
風間「……人間は盗んだことがないンでね」
   と、階段を上がっていく。
ミサ「待って」
   ミサの必死の表情。
ミサ「連れて行って……」
   風間、険しい表情。
   が、首を軽く振って行ってしまう。
ミサ「……」
真吾の声「連れていって欲しかった」

○同・ミサの部屋
   真吾が日記を読んでいる。
真吾「ここじゃないどこかへ……」
   と、顔を上げる。
真吾「……マジかよ」
執事の声「坊ちゃまっ。坊ちゃま。いらっし
 ゃいますか?」
   真吾、振り向いて
真吾「ああっ。今行く」
   と、部屋のドアに手を掛け、窓の外に
   いるミサを見る。
   ミサ、ほうきで掃いている。
   複雑な表情の真吾。
   部屋を出て行く。
   机上の赤い日記。

○間宮邸(夜)
   月が出ている。

○同・庭
   暗い庭。コソコソと風間がお金の袋を
   持って、門へと向っている。
   と、懐中電灯が当たる。
   風間が振り向くと、ミサ。
風間「……アンタか……」
ミサ「待ってました。毎晩あなたが来るのを」
風間「……困ったな。アンタがいなくなった
 ら、借金はどうする?両親がつらいだろう」
ミサ「私が居なくても、働いていない兄がい
 ます。あの人がやることになるでしょう」
風間「そうか……だが、行きたいなら、一人
 で行けばいいさ」
ミサ「貴方は、私とは正反対。縛られて生き
 ていない。貴方と居られれば、私は私とし
 て生きていける。そんな気がするんです」
風間「だからこそ、アンタを養ってなんてい
 けないさ」
ミサ「かまわない。ここに居たら死んでるの
 と同じだもの……私は生きたいのっ」
風間「アンタと金。そんなに持ていけないさ。
 無理だな」
ミサ「……でも……」
   風間、お金が入った袋を落とす。
   ミサ、それを見る。
   と、ミサの手を掴む。
   パトカーのサイレンが鳴る。
風間「行くぞ」
   走リ出す。
   門へと走る二人。
   門に、パトカーが数台止まる。
ミサ「裏口、こっち!」
   と、風間を引っ張る。
警官「待てっ!」
   と、警官が数人追ってくる。
   ミサ走りながら振り返る。
   間宮邸が見える。
   さらに、庭を見つめる。
   ミサが庭を掃いているイメージが見え
   る。
ミサ「……私、生きてる」
風間「ん?なんだ?」
   風が舞う。
   葉っぱが舞う。
   頭につけたカチューシャを投げる。
ミサ「生きているっ!」
   と、笑う。
風間「手を放すなよっ」
ミサ「うんっ」
   走る二人。追ってくる警官。
   サイレンの音が響く。

○同・ミサの部屋(昼)
   片付けられた部屋。机と椅子があるが、
   物はなくなっている。窓は開いている。
   窓際に立ち、赤い日記を読む真吾。
   真吾、日記を落とす。
真吾「あっ」
   フックが外れて、バラバラと紙が風に 
   舞って窓の外へと流れていく。
真吾「……僕に言ってくれれば……いや…… 
 なにも出来になかった……出来なかった……
 だけど……」
   舞っていく日記。








終わり



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